Nd:GdVO4レーザー結晶は、レーザーダイオード(LD)励起固体レーザ用として現在使われているレーザー結晶の中で、最も効率的なレーザ結晶の1つです。理想的な物理・光学・機械特性を持ち、レーザ発振波長における誘導放出断面積が広く、吸収係数が高く、また励起波長における吸収帯域が広いという特性もあります。さらに、Nd:GdVO4は理想的な熱伝導率を持ち、高いレーザ誘導や損傷閾値を持つということから、高出力で、安定性があり、且つコスト面でも効率的なLD励起固体レーザ用媒質として優れたレーザー結晶です。

■ Nd:GdVO4の利点

・レーザー波長での誘導放出断面積が大きい
・励起波長帯域が広く、吸収係数が大きい
・励起波長に対する依存性が低い
・熱伝導率が良い
・レーザー閾値が低く、スロープ効率が高い
・レーザー誘導損傷閾値が高い
・強偏光レーザー出力が可能

 

■ 構造と性質

結晶構造 正方晶, 空間群  I41/amd
格子パラメータ a=0.721nm, b=0.635nm
質量密度 5.47g/cm3
融点 1780℃
熱伝導率 11.7W/(mxK)
熱膨張係数 a=1.5×10-6/℃, b=7.3×10-6/℃ (at 25℃)
比熱 32.6 cal/mol K (at 25℃)

■ 光学および波長特性

レーザ遷移 4F3/2 → 4I11/2
レーザ波長 1062.9nm
励起波長 808.4nm
放出断面積 7.6×10-19 cm2 (at 1064nm)
吸収断面積  4.9×10-19  cm2 (at 808nm)
吸収係数 74cm-1 (at 808nm)
屈折率 no=1.972,   ne=2.192 (at 1064nm)
偏光 c軸と平行
最大吸収 ~57cm-1
熱光学係数 4.7×10-6/℃

■ 仕様

Nd添加濃度 0.1%,0.2%,0.3%,0.5%,0.7%,1.0%…..3.0%
透過波面歪み ≦λ/4 (at 633nm)
寸法公差 (W±0.1mm) x (H±0.1mm) x (L+0.2mm/-0.1)
有効口径 >90% (中心部)
平坦度 λ/8, λ/4(厚さ2mm未満)   (at 633nm)
表面品質 10/5 to MIL-PRF-13830B
平行性 >20
垂直性 5
角度許容値 <±0.5°
ARコート反射率 R<0.2% (at 1064nm)
HRコート反射率 R>99.8% (at 1064nm), T>95% (at 808nm)