Nd:KGW(KGd(WO4)2)レーザー結晶は、低いレーザ発振閾値と高い放出面積という特性があるため、レーザ材料として優れています。KGW結晶中のNd3+イオンの蛍光濃度消光効果は、W-O共有結合により抑えられる可能性があるので、この結晶では活性イオンを高濃度添加しています。加えて、KGW中のNd3+イオンによる半値全幅12nmの808nmでの吸収は、現在使われているレーザーダイオード(LD)の発光波長とよく一致しています。

■ 構造と性質

結晶構造 単斜晶, 空間群 C2h(2/c)-C2/c
格子パラメータ  a = 8.087Å; b = 10.374 Å; c = 7.588Å
β=94.41°
モース硬度 5
質量密度 7.27 g/cm3
融点 1075℃
熱伝導率  K[100] = 0.026 ; K[010] = 0.038 ; K[001] = 0.034
(at 373oK, W x cm-1 x oK-1)
熱膨張係数 α[100] = 4 x 10-6 x oK-1 ; α[010]= 1.6 x 10-6 x oK-1 ;
α[001]= 8.5 x 10-6 x oK-1  (at 373oK)

■ 光学および波長特性

レーザ波長 911nm, 1067nm, 1351nm
吸収帯域 808nm (半値全幅 12nm)
蛍光寿命 110 μs (Nd 3%) , 90 μs (Nd 8%)
屈折率 nq = 2.049; np = 1.978; nm = 2.014
ヤング率 E[100] = 115.8; E[010]= 152.5; E[001] = 92.4 (GPa)

■ 仕様

添加濃度 3%, 5%, 8%
最大全長 50mm
寸法公差 (W+1.0/-0.0) x (L±0.1)
並列性 < 30″
垂直性 < 15′
表面品質 20/10 (MIL-PRF-13830B)
コーティング ARコート