テクノロジー

光アイソレータの構造や原理とは(動画でも解説)

■光アイソレータとは

 光アイソレータとは、順方向に進む光のみを透過し逆方向の光を遮断する部品です(図1.参照)。戻り光によるレーザの損傷、不安定化、干渉によるノイズ防止などに必要で、光アンプ光通信線路で多数使われています。光アイソレータには、入射光が直線偏光のときに使用する偏光依存型と入射光の偏光状態によらない偏光無依存型があります。ここでは両タイプの原理を説明します。何れの場合も光の進む向きで偏光の回転方向が逆になる磁性体ファラデー素子の特異な性質が重要な役割をしています。

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図1(a) 順方向の光は透過する

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図1(b) 逆方向の光は遮断される

 

■偏光無依存型光アイソレータの原理

 偏光依存型光アイソレータは入射する光の偏光状態によらないで使える便利なアイソレータで、原理的な構造は下図のよになっています。主な部品は複屈折結晶ファラデー回転子1/2波長板です。複屈折結晶にはルチル(TiO2)結晶、ファラデー回転子にはYIG、BiYGのような強磁性体結晶がよく使われます。

 図2(a)は順方向の光の進み方を示しています。複屈折結晶に入射した光は偏光面が90°異なる常光線と異常光線に分かれます。これらの偏光はファラデー回転子で45°、1/2波長板で45°合わせて90°回転させられ、常光線は異常光線へ、異常光線は常光線へと逆になって後段の複屈折結晶に入射するので合波され低損失で光ファイバに入射させることができます。

 図2(b)は逆方向の光の進み方を示しています。順方向の場合と同じく光は常光線と異常光線に分かれて1/2波長板とファラデー回転子を通過します。しかし、順方向のときと違って偏光面は元の状態のままなので複屈折結晶で合波されることなく進み光ファイバに再入射されることはありません。

 なぜ行きと帰りで違う現象が起こるのか、ポイントはファラデー回転子にあります。1/2波長板は光の進行方向に対して常に同じ方向に偏光を回転させるのに対し、ファラデー回転子は行きと帰りで回転方向が逆になる非常に特異な素子のためです。図2の逆方向に進む光では1/2波長板とファラデー回転子が各々逆向きに45°づつ回転させるので結局元の状態で出射されることになります。

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図2(a) 順方向の光の進み方

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図2(b)逆方向の光の進み方

■偏光依存型光アイソレータの原理

 偏光依存型光アイソレータの原理的な構造は図3のようになっており、主要部品はポラライザ、ファラデー回転子、アナライザです。順方向に進む光はポラライザで偏光にされファラデー回転子に入射されます。ファラデー偏光子で偏光面が45°回転した後アナライザに入射されます。アナライザは45°傾いた偏光を透過するように設置されているので光はそのまま光ファイバに入射されます。一方、逆方向に進む光(戻り光)のうち45°傾いた偏光のみがアナライザを透過してファラデー回転子に入射します。ファラデー回転子では、戻り光は進行方向に対して行きと逆方向に回転するので、さらに45°偏光面が回転し、往復で90°回転した偏光となりポラライザを透過できません。

 

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図3(a) 順方向の光の進み方

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図3(b) 逆方向の光の進み方

■光アイソレータについて動画で解説

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